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アヤナザのポルトガル通信
第72回:ポルトガル風のモツ煮 "Tripas à Moda do Porto"
2024.08.23
しばらく前からずっとポルトガルのオーバーツーリズムの話をしておりますが、
ポルトガルのオーバーツーリズムはまだまだ終わりません。
2024年はリベンジ・ツーリズムなんて言われて、
今までの鬱憤を晴らすかのように、世界では旅行客が増えたため、
ポルトガル訪問者も過去最高を記録したのだとか。
日本も全く同じで、嬉しい反面、変な人もたくさん入ってくるので、
色々な場所がはちゃめちゃで複雑です。
傾向ではありますが、逆に日本人はコロナを経て余計に
「日本でいいや」と思う人が増えたらしく、
パスポートの取得率も17%と聞くと面白いなと思います。
ということで、田舎に行っても外国人で溢れているポルトガルには
昔よく行っていたようなローカルレストラン的なものがどんどんなくなって行ってしまいました。
そんな中、今回マンテイガシュに泊まった際に、久しぶりにローカルっぽいけれど、
ローカルではないようなちょうど良い感じのレストランに出会いました。
外からの見た目はローカルのバルのような感じだったのですが、
あまり時間もなかったのでとりあえず早く食べなければ!と焦って入店。
時間帯的にも場所的にも、しっかりとしたディナーは食べられないかなぁと思っていたのですが、
意外にもちゃんとしたレストランで中はとても素敵でした。
SANTA LUZIA
というマンテイガシュのローカルレストラン。
シンプルなレストランですが、とても綺麗にしていて、
マンテイガシュの景色がとってもよく見える!
入った瞬間からとても良い印象を受けました。
期待していなかったのですが、最初に出てきたスターターも
気取りすぎていない割に、とても美味!
この最初のスターターは既製品を出す場所も多いのですが、
この時にシェフの手作りのバターやチーズ、オリーブなどを出してもらえると、とっても嬉しい。
テンションが上がります。
ここのスターターはバターにツナ、ガーリック、ハーブを混ぜたものでした。
少しマヨネーズも入っていたような。
少しずつ日が暮れて行く様子を窓から見ながら・・・
ゆっくりとしたディナーのスタートです。
マンテイガシュはとても素敵なポルトガルの村。
山肌に建つ家々が、なんだか置物みたいだなぁと思って見ていました。
するとスープが到着。
これも今日のおすすめのスープを出してくださいと頼んだらほうれん草スープを提案して作ってくれました。
さすがスープ大国のポルトガル。
ほうれん草ですが苦くもなくてコクがあってとても美味しい!
次に出てきたサラダにはビックリ!
なんともやしがのっていました。
もやしは、完全にポルトガルの田舎ではグルメ食材扱い!(言い過ぎ)
というか珍しい!
スーパーなんかでも見つけることはできますが、日本ほど安くないですし、
まさかこんな村のレストランでもやしが出されるとは思わずに驚きました。
そして、今回このレストランで挑戦したのが、
ポルトガルの伝統料理の一つとして有名なドブラーダ。
ドブラーダは牛の胃などを煮込んで食べる料理であり、昔からポルトガルに伝わるもの。
牛の胃を恒例のマッサデピメンタオン(パプリカペースト)で炒め、豆などと煮て食べるので、
ポルトガルバージョンのモツ煮という感じですね。
1番有名なものとして、
ポルトの郷土料理として有名なトリパシュ・ア・モーダ・ド・ポルト(Tripas à Moda do Porto)
があり、ここで出てきたのは完全なポルト風でした。
ポルトでも、これをご飯と一緒に食べます。
ヨーロッパという地でこんな頻繁に米を食せることが幸せ!
ちなみに、ポルトの郷土料理はドブラーダとは全く違う名前のTripas à Moda do Porto
つまりトリパスになっていますが、これはポルト人のニックネームであるTripeirosから来ているらしい。
こういうのが面白い!!!
大航海時代から続くと言われているポルトガルの伝統料理ですし、
前回ポルトで食べた時には、時差ぼけであまりしっかり味わえなかったので、
機会があるならば食べたい!と思いオーダーしたのですが、
実はあまりモツ系は得意ではない私。
実際のお料理が出てくるまで心配でしたが、
ここのドブラーダはトマトとパプリカの味が効いていて臭みもなくとても美味しかった!
やはりマッサデピメンタオン(パプリカペースト)は本当に何の味付けにも合うと思います。
食べられなかった時用に保険をかけて川魚もオーダー。笑
こちらはポルトガルらしい魚のシンプルな焼き物。
川魚に塩をふったシンプルな焼き魚ですが、
炭火焼きなのでやっぱり特別で美味しい!
最後には美味しいカフェをクイっと飲み、
帰宅しました。
色々な場所で食べることができるポルトガルの伝統料理。
それぞれのお料理に歴史的な背景が絡むのが、
知識欲が旺盛な人には、たまらないと思います。
ポルトガル風のモツ煮、見つけた際にはお試しあれ〜!
【ポルトガルへの想いが本になりました!
購入はこちらから】

ポルトガル食品輸入会社ポルトドポルトのバイヤー。10代の頃からフランス、オーストラリア、ブラジルと様々な国々にて10年ほど海外生活を送った後、西洋文化の中ではポルトガルが日本人に1番合うと確信。オーストラリアNSW州立ウェスタンシドニー大学を卒業後、ブラジルで就職。帰国後ドイツ系会社で社長秘書を勤めた後、夫と共にポルトガル食材輸入会社を起業。ポルトガル語、英語、日本語の3ヶ国語を話す。
NHK総合の人気番組「世界は欲しいモノにあふれてる」に出演後、ラジオゲストや、NHK文化センター講師など、幅広く活躍中。