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アヤナザのポルトガル通信

第73回:アレンテージョで食べるウサギ


2024.08.30

ポルトガルでは実はウサギを食べる習慣があります。
特にアレンテージョでは。

ということで、今回の記事はアレンテージョでウサギを食した時のレポートです。
ボルバに滞在した際に、
ポルトガル人友人のおすすめでウサギを食べに行ってきました。

ザ・アレンテージョな風景。空がま・・・眩しい!!!
ここは全てブドウ畑です。



こんなザ・アレンテージョの風景の中、
突然手書きの看板とともに出てきたのがこちらのレストラン

O Espalha Brasas

これ以上アレンテージョらしい場所があるだろうか?
と思うほどにアレンテージョらしい場所にあるレストランです。
2018年にはこのエリアのおすすめレストランに選ばれていました。



着いた瞬間、ローカルしかいないのを察知して
うわぁ・・・入りにくい・・・
アジア人だし、誰やねん的な目でめっちゃ見られてる・・・
とすぐに感じました。

この視線に耐えられる娘は本当に鋼のメンタルだ!とも。
将来、平気で人前で話せるようになるのかななんて思ったり。

そんなこんなで、萎縮した態度を揉み消すべく堂々と店内へ入って行くと、
お店の人が、とても親切に対応してくれました。

こういう時に言語が話せるって最高だ!と感じます。
これで言語が話せないと差別されたと感じたり、
勘違いで嫌な思いになってしまったりもあると思うので、
現在の言語取得者は是非頑張ってもらいたいです!
(なんて上から言ってみましたが一緒に頑張りましょう。)



駐車場で溜まっている人々もいたので、
駐車場でタムロするのはどこの国の人も田舎の共通点なのか?と思いつつ
向こうがアジア人のこちらを観察するように、
私たちも彼らを観察してみました。笑

お店では、本当に残念だけど、今日はもう予約で席がいっぱいで空いてないの。
ととても残念そうにお店のおばさまが答えてくれました。
ごった返している店内を目の当たりにしていたので、
「だろうね・・・」と思いつつ、困った顔をしていると、

「テイクアウトならできるかもしれないけどどう?」
とオファーをしてくれました。

やはり、子供がいるとポルトガル人は本当に優しい!!!!

「時間がかかるから、外で遊んでてね!」と言われ外に行くと、
本当の遊び場がありました!

ドンキー登場!



アレンテージョには結構ドンキーがいるのですが、
ドンキーは本当にヒ〜ハ〜やイ〜ヨ〜と鳴きます。笑

この景色を見ながら待つ贅沢。



そして、本当のツリーハウスも。
これには娘も大興奮。
早速見ず知らずのポルトガル人のキッズと楽しそうに遊んでいるのを見ると
子供はすごいなぁと思います。

ポルトガル人キッズは日本人キッズと同じくらいにシャイな子が多く、
子供の頃から似てるんだ!と言うのは新たなる発見。

しかし、子供もこんな大自然の中で育つと人生観変わるんだろうなと思ったり・・・。



アレンテージョは本当に田舎なので、
人々の行動にもたまにビックリすることはありますが、
悪気はない人達なので悪く思わないでくださいね。

店内は常に賑わっているため、店内の写真はいつ撮ってもごちゃごちゃ。
絶対に定員オーバーだと思う。笑



待ってる最中に、
ついつい今日は誰かの誕生日パーティーですか?と聞いてしまったら、
これが普通のアレンテージョの週末らしい。
みんなで集まり、永遠と食べて飲んで語る。

たまに見るとイイものですが、若者には少々息苦しいかもしれませんね。

しかし、昔にタイムスリップしたような、
なんだかいいもの見せてもらいました。

そんなこんなでテイクアウトして帰宅。
お料理をいただく時間です。

なんと!今回のうさぎ料理の名前は

Coelho Bêbado
(コエーリョ・ベバド)

つまり酔っ払いのウサギという意味なんです!
ウヒョ!
何たるネーミング!



アレンテージョはウサギがそのままスーパーで丸々で売られています。
お肉のケースに並べられていることもありますが、吊るされることも。
ここにレポートとして写真を載せようと思って撮ってきたのですが、
改めて写真で見ると・・・・
顔もついているし、足も手もそのまま。

日本ではウサギもペットとして人気ですし、
好きな人も多いと思うので、衝撃的な写真は載せないようにしておこうと思い
自粛することにしました。
(偽善者かもしれませんが、なんだか可哀想に思えてしまった・・・)

私が若い頃は海外では日本人(多分アジア人全員のこと)はタコを食べたり、クラゲを食べたり、
クジラを食べたり、犬を食べたり(韓国ですけど)、ゲテモノ好きだなと言われたことを思い出しては
「どこがやねん。」と心で思ったりするのは言うまでもなく。

言ってきたのはポルトガル人ではなく、専ら英語圏の人だったんですけどね。
ポルトガル人も色々なものを食べるからこそ、ここまで食文化が発展したんだなと感じます。

これがアレンテージョ風の酔っ払いウサギ。
Coelho Bêbado



味は炭火焼きされたうさぎに、玉ねぎとニンニクにローリエなどのハーブが入った調味料がかかっており、
暑い場所の食べ物!という印象。

食べた感想ははっきり言ってチキンとあまり変わらない。
チキンより少しジューシーさが少ない感じはします。

しかし調理後でさえ、うさぎさんの「そのまま感」がハンパない。
こういう場面に出会うことが多いから、ヨーロッパではベジタリアンになる人が多いのでしょう。
日本にいる時は、スーパーでも既に切り身が売られているので、
実物を目にすることはそうそうないし、
あったら苦情が入るかもしれない。

そう思うと、常に自分が何を食べているかを意識するのは大切なことですね。



ポルトガルでは、このように、ご飯の代わりにポテトチップスが出されることも多いです。
このポテチは手作り!

ちなみに今回は食べませんでしたが、
アレンテージョ風という意味で行くと
Coelho Estufado à moda do Alentejo
という調理方法もあります。

そのまま直訳すると、
ウサギのアレンテージョ風煮込み。
Estufadoはシチューという意味で、
スープの中にウサギが入っているような汁気が多い食べ物です。

Coelho à Caçadorはアレンテージョ以外でも食べられる
ポルトガルのうさぎ料理。
しかし、北部などに行くと、日常的にウサギは食べないと友人はいいます。

炭火焼きされたウサギ。
美味しいのですが、やはりウサギを食している感じがなんとも辛く・・・
次も自分から進んで食べるか?と言われると、そこは何とも言えませんね。

今回は経験として、
有り難く食べさせていただきまいた。

最後にはアレンテージョ風のスイーツも。



レモンタルトとアレンテージョの伝統的なスイーツ、セイカリアをゲット。
セリカイアはアレンテージョ地方のお菓子。
これもポルトガルの他の伝統菓子の例に漏れることなく、最初は修道院で作られるようになったものです。

卵の黄身に砂糖、小麦粉、牛乳などで作られる生地は、他のポルトガル伝統菓子とやっぱり似ていますが、
こうして違う形となって完成するのが面白い。上にはこれでもか!というほどにシナモンがドバーとかけられます。
ポルトガル人はシナモン大好きですね!

今回のお店はとても美味しくてアレンテージョらしい味が食べられましたが、
テイクアウトには向いてなかったなと感じます。
次はレストランでも食べたいな。

アレンテージョの人々が週末、家族みんなで集まってワイワイする場に遭遇し、
ランチに来ただけなのに、何ともアレンテージョらしい時間を過ごせた場所となりました。

今回紹介したレストラン、O Espalha Brasasはこちら


  


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Profile
筆者:アヤナザ

ポルトガル食品輸入会社ポルトドポルトのバイヤー。10代の頃からフランス、オーストラリア、ブラジルと様々な国々にて10年ほど海外生活を送った後、西洋文化の中ではポルトガルが日本人に1番合うと確信。オーストラリアNSW州立ウェスタンシドニー大学を卒業後、ブラジルで就職。帰国後ドイツ系会社で社長秘書を勤めた後、夫と共にポルトガル食材輸入会社を起業。ポルトガル語、英語、日本語の3ヶ国語を話す。
NHK総合の人気番組「世界は欲しいモノにあふれてる」に出演後、ラジオゲストや、NHK文化センター講師など、幅広く活躍中。