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アヤナザのポルトガル通信

第81回:伝統と静けさに包まれて 


2025.04.25

数年前のポルトガルには、「これぞポルトガルのレストラン」という哀愁漂うレストランが町のあちらこちらにありました。しかし、ポルトガルの人気が出るに連れて、そんな場所は少しずつなくなっていき、モダンでイカしたオシャレなレストランに変わっていってしまう・・・。そんな状況を見てきました。

もちろん、変わることはいいことだし、そのほうがポルトガル人にとっても喜ばしいとは思うのですが、同時にちょっとした寂しさのようなものも抱えておりました。

そんな時に立ち寄ったポルトガルの小さな田舎町アライオロスのレストランで、こ・・・これは!!!一昔前の哀愁漂うレストランではないか!という場所に出会ったので、本日はそんなレストランを紹介したいと思います。

手織りのタペストリーで有名なアライオロスの町の静かな一角にあるレストラン 
A MOAGEM

入った瞬間にオーナーの家族写真が飾ってあり、あぁ!これだ!!しばらく見ていなかった哀愁のポルトガルだ!となんとも言えないノスタルジックな気分になりました。



レストランの名前A MOAGEMはポルトガル語で「製粉所」という意味。ここはかつて実際に小麦を挽いていた場所なのだとか。今でも歴史を感じさせる丁寧なアズレージョの壁が、落ち着いた空間として印象的でした。やっぱり古いものを大切にするポルトガルの文化っていいよなぁ。



14世紀からあるアライオロス城(Castelo de Arraiolos)の近くでこんなゆっくりとした時間が過ごせるとは。ここはタペストリーの町として有名なので、もっと人がいるかと思っていたのですが、レストランの外にも地元の人以外は誰も歩いていなくて、なんだか昔のポルトガルにタイムスリップしたよう。

アライオロス城もあるのに観光客は来ないんだなぁ・・・なんて思っていると、外壁だけが残っている状態のお城というか城跡だったので、観光地としてもあまり人気がないのかなぁとなんとなく納得。

遠くから見たら立派な小高い場所にある町だったのに、町の中に実際に入ってきたら本当に何もない田舎だったので、とても面白く感じました。そんな風に思っていた時に立ち寄ったレストランだったので、余計に誰もいない哀愁漂うレストランがたまらなく素敵な空間に感じました。



ここはアレンテージョでエボラから30分〜40分くらいの距離にある場所なので、本当に流れている時間がゆっくりで、たまらない。

タイパ、コスパばかりが重視される日本から来ると、地球にまだこんな場所が存在しているのが信じられないような時間が流れている場所。この日本とは正反対の空気感はなんとも心地よく、こういう場所にこそ私たちが忘れいた大切なものや時間が残っている気がしてなりませんでした。

これぞ私が惚れたポルトガルだ・・・!

オーナーさんは私たち日本人一家を不思議な顔をして見つめていたので、こちらから話しかけてアライオロスの絨毯を見にきたと説明すると、話が止まらなくなりました。やはり田舎ではアジア人はまだ得体が知れない生息体なので、ちょっとした自己紹介が必要です。笑 

オーナーは、息子がエボラで、娘がリスボンに住みにいって、そこに孫たちもいるという家族の話をひたすら教えてくれました。家族の話をするオーナーの後ろに飾ってある孫の写真が眩しい!

そんなこんなでエントラーダスの登場です。



羊のチーズに、サラミ、チキンが入ったエンパナードで娘は大喜び。エントラーダにしては、とっても豪華!これで4.80ユーロ。オリーブは1ユーロでした。



特にこのエントラーダは娘も息子も大喜び。ポルトガルにいると、たまに苦手なものにたくさん出会して「おにぎりが食べたい」などと言われて合唱されることがあるので、子供が食べやすいものが出てきてくれると本当に助かります。

こちらは中にチキンをガーリックやハーブで炒めたものが入っていて、それをパイのような生地で包んであるもの。



こちらはCarne com cogumelos(牛肉とキノコの煮込み料理)です。

じっくり煮込まれたやわらかい牛肉にキノコの旨味が溶け込んだクリーミーなソース。このレストランの一皿はなんとなくストロガノフを思わせるようなホッとする味わい。マッシュルームの香りとソースのコクが絶妙で、ご飯と合わせても美味しく食べることができました。

アレンテージョのオリーブオイルやハーブが隠し味になっているようで、やっぱりオリーブオイルって美味しいお料理にはかかせないなぁと思ったり。重すぎることもなく、最後まで楽しめました。



そして、こちらの牛肉。
ナイフを入れるとスッと切れるほど柔らかく、娘が珍しくおかわりまでしたおいしいお料理。両面は香ばしく、中はしっとりと仕上げられていて、シンプルながら肉の美味しさを存分に味わえる一品でした。やっぱりアレンテージョはお肉!

一緒にでてきたほうれん草の炒め物がなかなかボリュームがかなりあったのですが、ペロリと食べてしまいました。

最後はもちろんお決まりのカフェ(エスプレッソ)


アライオロスの静かな空気の中で、歴史ある空間とオーナーの奥様が作ってくれた手作りの料理を味わう時間は、まるで時間が止まったような素敵なひとときでした。旅の途中、少し足を止めて心とお腹を満たしたい時に是非立ち寄って欲しい一軒です。旅の思い出に是非加えてみてくださいね。

一昔前の古き良きポルトガルを感じるこおができる場所です。こういう場所にこそ、ポルトガルの良さが宿っている・・・そんな風に再認識したアライオロスでの昼下がりでした。(めちゃめちゃ田舎ですがね・・・笑)

 
今回紹介したカフェ、A MOAGEM はこちら


  


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Profile
筆者:アヤナザ

ポルトガル食品輸入会社ポルトドポルトのバイヤー。10代の頃からフランス、オーストラリア、ブラジルと様々な国々にて10年ほど海外生活を送った後、西洋文化の中ではポルトガルが日本人に1番合うと確信。オーストラリアNSW州立ウェスタンシドニー大学を卒業後、ブラジルで就職。帰国後ドイツ系会社で社長秘書を勤めた後、夫と共にポルトガル食材輸入会社を起業。ポルトガル語、英語、日本語の3ヶ国語を話す。
NHK総合の人気番組「世界は欲しいモノにあふれてる」に出演後、ラジオゲストや、NHK文化センター講師など、幅広く活躍中。