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アヤナザのポルトガル通信

第83回:ファームステイでで至福の時間を

2025.09.12
 

ポルトガルというと、どうしてもリスボンやポルトの街歩きというイメージになってしまいますが、ちょっと車を走らせるとまったく違う景色が広がっています。そんなちょっぴり通なポルトガル旅を楽しむことができるのが「Turismo Rural(農村観光)」の魅力。今回私たちが選んで泊まったのは、アレンテージョ地方の小さな村にある元農家の宿でした。

観光地の喧騒から離れて、自然と同じリズムで過ごす時間は、まるでポルトガルの“本当の暮らし”に少し触れたような気がします。

今回滞在した場所は
Casinhas de Santo António



田舎道をガタゴトと走って行くと、青い空と緑の畑に映える、黄色とオレンジのゲートが出迎えてくれます。
このビビットなコントラストがポルトガルらしく、たまりませんね。

しばらく前からポルトガル政府も力を入れているので、こうした農村宿はどんどん増えています。ここもとても力が入れられていて、テクノロジーもしっかりと導入しているので、ケータイでパスコードを入れるだけでゲートが開けれたりと、意外とハイテクで便利になっています。

北部や色々な場所に元々あったものを活かして改装してできたホテルやポウザーダはあるのですが、アレンテージョには田舎には特に多く点在していて、ここではホテルのような豪華さはないけれど、心からくつろげる温かさがあります。広大な場所にあるので、高確率でセットでついているプールも雰囲気抜群。

ポルトガルの中でも、アレンテージョほど「ゆっくりとした時間」が似合う場所はないかもしれません。リスボンから車で数時間、窓の外にはオリーブ畑、葡萄畑やコルクの木がどこまでも続き、空は大きく広がり、日々の疲れや都会の喧騒をすっかり忘れさせてくれます。

前回のポルトガルのコルクホテルもそうですが、アレンテージョの大地を独り占めした気分になれるのが何よりも最高な気分です!最近のヨーロッパはどこも日本と一緒でオーバーツーリズムで観光地を見に行っているのか、人間を見に行っているのか分からない状態ですが(笑)、ここにいればそんな心配も全く関係ナシ!!!

また、観光客扱いというより、友達の家に遊びに来た感覚で過ごせるのが、Turismo Rural のいいところ!

ここも大きいところではありませんが、可愛いお家が何軒か横に連なっていました。



全体的にオシャレで洗練されていてどこを切り取っても素敵な雰囲気。辺り一面に広がるオリーブ畑とマッチした建物。
中に入ると石造りの床と木の梁がそのまま残っていて、どこか懐かしい雰囲気なのもまた気に入りました。



ライトもベットヘッドボードも馬小屋に使われていたものを再利用しているみたいです。
ここはTURISMO RURALで泊まった中で1番か2番くらいに素敵な場所かも!



特に、家の中から見渡すアレンテージョの大地は広大で息をのむほど。



家の中も広々としていて小さなキッチンもついているし、上に登って行くと、なんとも素敵なロフトが。



ロフトまでデコレーションは全てファーム調で徹底されていて、天井は低いものの、秘密基地感もあり、子供たちは大喜びでした。

入り口のドアもトイレの周りも全てファームを連想させるもの。ここを出ると本当に馬や牛などの動物がたくさんいるので、触れ合うこともできます。



遠くに聞こえる車の音が、アレンテージョの静寂さを際立たせてくれる・・・。本当にアレンテージョという名前が似合う場所だなぁ・・・



そして忘れてはいけない、アレンテージョの魅力のひとつは、やっぱり「夕日」。日中の強い日差しが少しずつやわらいで、黄金色の光がオリーブ畑やコルクの森を染めていく時間は、まるで映画のワンシーンのようです。

農村の宿に滞在していると、テラスやプールサイドからその景色をゆっくり眺められるのも特権。ワインを片手に空を見上げると、赤やオレンジ、時には紫まで混ざったグラデーションが大地を照らし、心まで温かくしてくれます。

都会ではつい見落としてしまう「一日の終わりの美しさ」。アレンテージョでは、夕日そのものが旅のハイライトになります。

そんな素敵な夜を越し、朝を迎えると鳥のさえずりで目が覚め、焼きたてのパンとオリーブオイルが並ぶ素朴な朝食が待っています。午後はプールサイドで本を読み、夕方にはオーナーが勧めてくれる地元ワインとチーズを味わう。観光地を駆け回る旅とはまったく違う、「何もしない贅沢」を楽しむ時間がここにはあるのです。

ある日はドアに焼き立てのパンがこんな風に掛けてあったり。



大地からのお届け物のようで、なんだか嬉しくなってしまいました。
朝食には、近所のベーカリーの焼き立てパンと、オリーブの木から採れたばかりのオイルが並びます。こんなにシンプルなのに、なんでこんなに美味しいんだろうと感動します。

また、アレンテージョの人々はとてもフレンドリーで、宿のオーナーが畑を案内してくれたり、自家製のリキュールをふるまってくれたりすることも。大地の恵みを肌で感じる体験は、旅の思い出をより深いものにしてくれます。

都会の旅に少し疲れたら、アレンテージョの Rural Tourism に行ってみるのは本当にオススメ。広い空と静けさに包まれて、きっと心がふっと軽くなるはずです。

人気の大都市を巡る旅ももちろん楽しいけれど、ポルトガルらしさをもっと深く味わいたい方は是非。きっと、忘れられない旅になるはずです。

 
今回紹介したホテル、Casinhas de Santo António はこちら


  


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Profile
筆者:アヤナザ

ポルトガル食品輸入会社ポルトドポルトのバイヤー。10代の頃からフランス、オーストラリア、ブラジルと様々な国々にて10年ほど海外生活を送った後、西洋文化の中ではポルトガルが日本人に1番合うと確信。オーストラリアNSW州立ウェスタンシドニー大学を卒業後、ブラジルで就職。帰国後ドイツ系会社で社長秘書を勤めた後、夫と共にポルトガル食材輸入会社を起業。ポルトガル語、英語、日本語の3ヶ国語を話す。
NHK総合の人気番組「世界は欲しいモノにあふれてる」に出演後、ラジオゲストや、NHK文化センター講師など、幅広く活躍中。